概要
「IoB極低侵襲技術開発」では、BMI技術の普及が拓く、さまざまな社会課題解決の実現を目指して、現在研究が進められている既存の計測技術にとらわれない画期的な技術開発を行います。
そこで、外科的な処置が必要な侵襲型と比べ、ごくわずかな侵襲で、かつ、体の表面から情報をとらえる非侵襲型より高性能なBMI技術を開発し、既存技術では実現困難な高精度と安全性の両方を有する、新しいBMI領域を創出します。
さらに、この新規技術開発に対しても、最先端AI技術を組み合わせることで、他のBMI研究との融合研究を加速させ、IoB全体で技術開発をよりよいものにしていきます。
これらの取り組みにより、IoBでカバーするあらゆる技術をシームレスに活用することで、利用者の要望やその用途・目的に応じた最適な技術を適切に提供することを目指します。
メンバー
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大阪大学 産業科学研究所 教授
本研究では、柔軟性を特長とするフレキシブル・ストレッチャブルエレクトロニクス技術を活用した「極低侵襲BMIシステム」を開発いたします。極めて柔らかい脳神経細胞やヒトの表皮に、長期間、極艇侵襲性でアクセスできる脳計測技術を確立し、中枢神経系疾患、脳関連疾患の医療に貢献して参ります。多様な研究者が集うプロジェクト内での連携を通して、この真に社会に役立つBMIを実現いたします。
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GRAYDEN David
GRAYDEN David
メルボルン大学 医用生体工学部 教授
本研究プロジェクトでは、さまざまなタイプの頭蓋内脳波計を用いて、視覚情報が脳内でどのように復号化されるかを調査します。具体的には、脳の表面や血管内に設置した電極(血管内電極)を用いて、さまざまな種類の視覚的シーンに対する脳の反応を記録する予定です。また、ブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)の精度と長期信頼性を向上させる機械学習アルゴリズムを開発し、評価します。BCIとは、頭部に装着した電極で記録した脳信号を使って、コンピューターや自動車などの外部機器を操作できるようにする技術です。
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大阪大学大学院医学系研究科 脳神経外科学 講師
本研究では、これまでに脳神経外科診療で培われてきた解剖学的知識や診療技術を総動員し、患者さんの負担を極力減らしつつ直接脳波情報を獲得できる「極低侵襲BMIシステム」を開発します。本システムを確立することができれば、侵襲的な外科的処置を行うことなく高い精度で長期に渡り脳波情報を獲得することが可能となり、病気や外傷によりご自身の意思や行動を思い通りに表出できなくなっている患者さんの生活の質を向上できるものと考えています。
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大阪大学 産業科学研究所 准教授
本研究では、イオンや分子などの生体由来の化学量を長期的に計測可能なウェアラブルセンサを実現するため、化学量センサの長期利用に向けた基礎検討を実施します。人間の生理応答の結果として血液もしくは体外に分泌されるイオンや各種分子の定量計測を目指すものであり、脳波などの物理量計測に加えて、生体からの分泌物の成分計測を同時に実現する事によって、身体的・認知・知覚能力の拡張をより高度なレベルで実現することを目指します。
関連リンク