「ブレインテック ガイドブック(案)」対するパブリックコメント

「ブレイン・テック ガイドブック(案)」に対してご意見をお寄せいただき、ありがとうございました。
いただいたご意見と委員会の回答は以下の通りです。

「ブレイン・テック ガイドブック(案)」に対する意見と委員会の回答

No. 頂いたご意見 委員会の回答
1 胡散臭いブレインテックが増えているので、まだきちんとしたデータがなく、根拠が少ないという知見を記載していて良いと思う。 ご意見をいただき誠にありがとうございます。当委員会はブレイン・テックの普及ではなく、あくまで、事実をお伝えすることを最優先に本書を作成致しました。「きちんとしたデータがなく、根拠(確からしさ)が少ない」という点に関しましても、当該分野の課題と考えられますので、繰り返しご説明をさせていただきました。
2 現在のブレインテックの限界とリスクを極めて明確に記述しており、ガイドブックがターゲットとしている「興味のある方」だけでなく、研究者・研究者にも配布したいほど素晴らしい内容だと思います。本ガイドブックに記載の内容を踏まえない製品開発・マーケティング・販売等の活動は、仮に一時的に注目を集めることはあっても長期的に社会に受け入れられることはありえず、社会展開のためにも重要な取り組みだと確信し、賛同します。 ご賛同をいただき誠にありがとうございます。ご指摘をいただきました通り、メディア等で取り上げられ、脚光を浴びやすい分野ですが、科学的根拠に基づいた情報は広まっていないのが現状と考えております。特に、有効性や安全性を保証する仕組みが構築されなければ、社会からの信頼は得られないと考えております。今後は製品開発・マーケティング・販売等の活動時に参考となるような自主基準(製品の信頼性を担保するための根拠の蓄積方法や、開示の仕方等)の策定活動を行っていきたいと考えております。
3 「はじめに」の冒頭で本ガイドブックの目的が「現状と課題について知っていただくこと」とされていますが、それだけではなく「現状と課題について知っていただくことで、ブレイン・テックの健全な発展を促すこと」とさらに踏み込んではいかがでしょうか。本ガイドブックが述べているブレインテックの限界やリスクは、ともすればブレインテックの発展に掣肘を加えるとも誤解されかねません。そのような解釈をさせないためにも、「知っていただく」だけではなく「発展」を目的に設定することが望ましいのではないかと考えます。 ご指摘をいただき誠にありがとうございます。「健全な発展を促すこと」という記述を盛り込むかにつきましては、念密な検討を行って参りました。その結果、ガイドブックの公表段階では、当該の記述を盛り込みませんでした。理由と致しましては、ブレイン・テックのみならず、ヘルスケア分野全般において、「健全さ」を担保するための制度や方法論自体が確立していないという事実が挙げられます。「健全」の基準自体を作ることが、非医療分野全般に求められており、健全の定義が現時点では十分にできないと考えたことから、本書への掲載は見送りとさせていただきました。
4 「GQ1 ブレイン・テック/BMIとはなんですか?」の解説に「身体を動かさなくても、頭で機械が動くようイメージするだけで実際に機械を動かすことが可能となります」との記載がありますが、この「頭で機械が動くようイメージする」という表現は技術的な誤解を生む可能性があるのではないかと危惧します。この表現は「機械が動いている様子を視覚的に想像する(とその通りに機械が動作する)」という意味に取る方が相当数居ると思いますが、これは本ガイドブックの付録2に「『今どのようなことを考えているか』…といった高度な思考…の推定を行うことは、実現できていない」と書かれている通り、技術的な限界を突破していると思います。他の箇所が極めて正確に丁寧に記述されているだけに残念です。例えば「身体を動かさなくても、脳信号をうまく読み取って処理することで、実際に機械を動かすことが可能となります」などと言い換えてはいかがでしょうか。 ご指摘をいただき誠にありがとうございます。ご指摘をいただきました通り、「イメージするだけで」という表現は、誤読、誤解を招きかねない表現であると考えられました。ご提案をいただきました「身体を動かさなくても、脳信号をうまく読み取って処理することで、実際に機械を動かすことが可能となります」という表現へと変更を致しました。
5 読者が自ら学ぶための学習リソースや、重篤な違反例を報告する厚労省や国民生活センターの窓口が示されていることは素晴らしいのですが、いずれも敷居が高く感じます。よりライトな疑問を相談できる窓口(ガイドブック作成委員会、金井ムーンショットプロジェクト、ないしその構成員による)があると、本ガイドブックの記載内容の普及に資するのではないでしょうか。もちろん、そのような窓口があったとしても、個別製品の有効性やリスクについて直接回答することは馴染まないしすべきではないと思いますが、例えば「自分で論文を読んでみたのですが、実験デザインの良し悪しについて判断できません」というような問い合わせに対しては、適切な参考書を紹介するなど有意義な回答ができるのではないかと思います。あるいは、明確に「問い合わせ窓口」を設置するのは困難だとしても、ガイドブック作成委員会のメールアドレスをそっと掲載しておく程度でも役に立つのではと思います。 ご指摘をいただき誠にありがとうございます。ご指摘をいただきました通り、相談がしやすい問い合わせ先は必要であると考えられました。「問い合わせ先」として、当委員会の連絡先を掲載致しました。
6 ガイドブックの作成ありがとうございます。非常によいガイドブックだと思います。細かい点なのですが、GQ2のニューロフィードバックが視覚と聴覚フィードバックのみを指すように見えました。最近ですと触覚フィードバックも発展しつつありますので「映像や音で表すことで」という部分を「五感を通じて」のような表記にされるのはいかがでしょうか?ご検討のほどよろしくお願いします。 ご指摘をいただき誠にありがとうございます。触覚につきましては、重要なフィードバックの方法であるため、「五感を通じて表すことで」という記載へと変更いたしました。
7 ご提案のガイドブックは近未来まで見通した現代社会に必要なタイムリーな提案と思います。このような有用な案を作成されたことに敬意を表します。現時点で、全てを詳しく拝読したわけではありませんが、最初に気になったことがあります。それは対象者の年齢に関する記載が一切ないという点です。
 この案にあるブレインテックの説明や適用に当たっての注意点などは全て成人に向けてのものと思われます。ただ、例えば、運動能力や認知機能の向上を目指すブレインテック製品の場合、中高生や受験生、場合によっては幼稚園児や小学生などの利用もあり得ます。現代のブレインテックに関する研究結果は、恐らく多くは成人のものと思います。発達脳に対するブレインテック適用の影響はより深刻ではないかと思われますが、恐らくデータがほとんどないのではないかと思います。従いまして、このガイドブックは成人向けで未成年には適用できないことを最初に明白に記載すべきと思います。その他、このガイドブックは長文で大部にわたる記載なので読み通すことにかなり時間を要しました。もう少し記載の簡略化に努められた方が良いように思います。
以上、最初に述べましたように、このようなご提案をされたこと大いに評価致します。パブリックコメントを受けて、より良いガイドブックを完成されることを期待致します。
ご指摘をいただき誠にありがとうございます。ご指摘をいただきました通り、未成年の方を対象とした研究は、データがほとんどない状況です。したがって、当ガイドブックは未成年には適用ができません。その点に関しまして、ご説明が不足しておりました。「はじめに」のページにおきまして、「なお、このガイドブックは成人を対象としており、未成年の方には適用ができません」という表現を追加致しました。
また、記載の簡略化につきましては、「全てを読まなくとも、色付けされた箇所だけ読めば、重要な内容のみ知ることができる」ように、修正を致しました。
8 1.ガイドブックの対象,目的が不明瞭
2.一般人を対象としているなら,アクセスが容易でなければ誰も見ない.
3.購入前に気になる場合にはむしろ他の検索エンジンを使用するため,ガイドブックをわざわざ見る気持ちは起きない.検索エンジンが公平かは一つの問題ではあるが,一見公平に見える.学会や法人などのガイドブックには公平さがやや劣る印象を持つ一般人も少なくないように思える.
4.医療機器と一般消費者むけブレインテックに関しても一般人はあまり線引きについては関心が無い.
5.販売=リスクや倫理的な課題はほぼクリア済み,と考えているのではないか
6.購入した際の期待と現実の差異に気づいてもよくあることと思うのではないだろうか.すなわち織り込み済みではなかろうか
ご意見をいただき誠にありがとうございます。「1.ガイドブックの対象・目的」につきましては、「ブレイン・テック製品に興味をお持ちの方を対象に、現状と課題について知っていただくことを目的として作成されました。」と冒頭に記載をしております。「2.アクセス方法」につきましては、ウェブページに掲載し、どなたでも閲覧ができるように致します。「3. ガイドブックをわざわざ見る気持ちは起きない」、につきましては、当ガイドブックは検索エンジンや他の情報源にあたることを妨げるものでありません。一方、それらの情報には、確からしさが不十分であったり、楽観的な情報(リスクについて説明していない)が含まれる可能性があります。本ガイドブックは事実に基づいた内容を記載しており、そのような啓蒙を行う媒体として、当ガイドブックの役割は大きいと考えております。「4.医療機器と一般消費者むけブレインテックの違いには関心が無い」につきましては、ブレイン・テックは規制が十分ではなく、危険な製品(本来は医療機器としての承認を受ける必要があるが、受けていない製品等)を使用して、健康被害が生じることを防ぐ目的で、本内容を掲載いたしました。「5.販売=リスクや倫理的な課題はほぼクリア済みと考えているのではないか」につきましては、むしろ、これらの課題をクリアしないまま販売されていることが国際的にも課題であると指摘されており、この事実を周知することに意義があると考えられます。「6.購入した際の期待と現実の差異」につきましては、ブレイン・テック分野では過剰な期待(もしくは不安)が生じやすい分野とされており、織り込み済みか否かについては判断ができかねます。差異を少しでもなくすことを本書の目的としております。
9 これ以前にそれぞれの技術に対する技術の精査、専門家間の議論が必要。砂上の楼閣のようなことをしており非常に危うい。 ご意見をいただき誠にありがとうございます。それぞれの技術に対する技術の精査、専門家間の議論が必要であることにつきましては、ご指摘の通りだと考えておりますが、本書は、「まだその議論すらできていない」という事実を一般消費者の方にお伝えする目的で作成されました。したがって、本書内ではブレインテックを「推奨」するような表現が入らないよう、十分に注意致しました。また、明らかになっていない点や、今後の課題についても明記致しました。したがって、非常に危うい砂上の楼閣のようなことをしているというご指摘はあたらないと当委員会では考えております。
10 海外専門家集団からのコメントです。特に日本では専門家自体が正しい知識を流布できなくなっており、学術不在、科学者不在、専門家不在である。根本的な部分を見直す必要がある。 ご意見をいただき誠にありがとうございます。「日本では専門家自体が正しい知識を流布できなくなっている」かにつきましては、当委員会が扱うスコープの対象外となりますので、お答えを控えさせていただきます。「学術不在、科学者不在、専門家不在」かにつきましても、判断を致しかねますので、お答えを控えさせていただきます。